廻らないポラリス

□巡る星々の行方
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星月学園の年末年始は基本的に静かだ。
寮に残るのは受験勉強にひいひい言ってる3年と、あとは事情のあるやつらくらいだから。
けれど今年は、生徒会が宿直をするというから、少し騒がしくなりそうだ。
…どうせ一樹が、帰省しない颯斗や翼、ついでに私と桜士郎のために気を回したんだろうけれど。
宿直1日目の夜、布団の上で風呂から帰ってこない男性陣を待ちながらそんなことを想った。

「奏羽先輩、コイバナしましょうコイバナ!」
「月子…元気だな」
「みんなと一緒なのが楽しくて!そういえば先輩、颯斗君と仲良いですよね?」
「…まあ」
「時々ちょっと怖いけど、優しくて頼もしいですよね」
「そうだな」

みんなで泊まるという状況に興奮しているらしい月子と歓談。
けれどはしゃぎすぎたのか、話しているうちに月子の瞼が下りてきて、促したらすぐに寝てしまった。
布団をかけてやりながら、さっきの話を考える。
……なるほど、端から見ると私と颯斗は仲が良いのか。
助けてもらったり、話をしたりと、なんだかんだ深い関係にあることは認める、けれど。
…恋、か。
私は一体、彼をどう思っているんだろう。
それに、仮の話として、私はアイツ以外と付き合うなんて……どう、なんだろう…。



その後少しして騒がしく戻ってきた3人と少し話して、布団に入る。
私の位置は、月子と颯斗の隣。
周りから聞こえる寝息はどれが誰のものやら。
誰かと一緒に寝るのは久しぶりで、なんだかそわそわとしてしまう。

「…奏羽先輩?眠れないんですか?」
「…そこまでじゃないよ。ただ慣れなくてね。颯斗こそ、まだ起きていたのか」
「ええ。僕もなんだか…慣れなくて」
「不思議だな、こうしているのは。けど悪くない」
「…ええ、そうですね」

颯斗の声に少しどきどきする反面、落ち着くような感覚もある。
今はまだ、気持ちに名前を付けるのはやめておこうと思った。
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