廻らないポラリス

□北極星のその先へ行こう
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「生徒会長は、満場一致で青空颯斗さんに決まりました」

選挙管理委員のアナウンスと会場の割れんばかりの拍手。
ステージ上で目尻を落として笑う颯斗に、心が暖かさを取り戻す。
一樹は、颯斗は、生徒会は、私にとって恩人であり、大事な人たちだ。
ただ笑っていてほしくて、だから何かをしたくて、でもいつも通りのことをするしかなくて、歯痒い日々だった。
…ああ、良かった。
一人で立ち続けた一樹も、過去と向き合わざるを得なかった颯斗も、寂しさの中に放り込まれた月子や翼も、渦中に入れなかった桜士郎も、少し報われるんじゃないだろうか。
胸を張って挨拶をする颯斗を見ながら、そんなことを思った。


生徒会室に戻ってきて、久しぶりに全員の笑顔。
口々に皆が颯斗を祝う。
それはもちろん私も例外じゃなく。

「おめでとう、颯斗」
「…先輩には、本当に感謝しています」
「そんなかしこまるなよ」
「いえ、本当に、ありがとうございます」
「……うん。颯斗が笑えているなら、良かったと思う」

そう言うと颯斗は泣きそうに笑って。
そのあとで、あ、と表情を変えた。

「そうだ、すみません、さらに面倒をかけてしまうのですが…ひとつ、お願いがあるんです」
「お願い?」
「少し先ですが、ピアノの演奏会のお誘いをいただいているんです。それに出てみようと…思いまして」
「…それは良いじゃないか。皆で応援に行こう」
「はい。奏羽先輩が、皆さんがいてくれたら、きっとできると思ったんです」
「うん」

すっかり表情の晴れた颯斗に嬉しくなる。
そうだよ、颯斗はもう独りじゃない。
私達は、きっと独りじゃない。
それぞれにとっての居場所である生徒会が、やっと戻ってきた気がした。

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