廻らないポラリス

□星座盤から眺めるは
1ページ/2ページ


颯斗の出演する演奏会が終わった――

そして、その直後から彼はひどく忙しくなり、なかなか生徒会にも来られないようだった。
地元紙なんかの取材がどんどん入ってくるらしい。
…だってあんなにも素晴らしい演奏だったから。
月子なんて泣いていたし。
音楽室で聴かせてもらった演奏よりも、一際輝きを増していた。

「…颯斗、忙しそうだな」

生徒会室、ぽつりとつぶやくと真っ先に月子が反応した。

「すごいですよね!颯斗君!」
「そう、だね」
「…月子、お前知らないのか」
「?」

桜士郎と一樹は少し苦々しい表情。
…まあ、私だって気づいていないわけじゃない。
ピアノで"青空"という姓、あまり音楽の世界に明るくない私でも思い当たる演奏家がいる。
だからきっとこれは、そういうことも入っているんだろう。
言いづらそうに月子に説明する一樹を横目に、なんとなく気になって、携帯を取り出す。
忙しそうだけど大丈夫かだなんて、様子見みたいな日和った文面を少し迷ってから送信する。
説明を聞いて尚、それでも颯斗君がすごかったからこそですよね!と重ねる月子の声が眩しく聞こえた。


そして、十数分して携帯の震え。
案外早い返信に驚きながら内容を確認する。
大丈夫、ありがとうございます、といつもの柔らかな笑顔を彷彿とさせるような答え。
それから、最後に一段落。

『今度、少しお時間いただけますか?大切なお話があるんです』

…少し、面食らった。
その一言に何も感じないほど、私は馬鹿じゃない。
きっと、これは。
ああどうしよう、どうしたらいいんだろう。
まだ、わからないんだ。
颯斗、君のことは大切だよ、だけど、私はまだ、
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ


©フォレストページ