廻らないポラリス

□きらきらしたせかい
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バレンタインイベントも終わり、もう帰るだけだった最後、奏羽先輩に呼び止められた。
他の生徒会メンバーが帰るのを見計らっていたようだ。
…なんて、僕も少し期待して最後まで残っていたのだけど。

「なんでしょう?」
「こ、これ、バレンタイン」

差し出されたのは淡いピンクの紙袋。
可愛らしい花と小さな星が隅に描かれている。
勝手に頬が緩むのがわかる。
ああ、嬉しい。
嬉しくて、嬉しくて、だからこそ余計なことも口に出してみる。

「あの、これは何チョコになるんでしょう?」
「……ごめん、まだ答えは出せていない。でも颯斗には本当に感謝してるから。だから、なんていうか………い、いろいろチョコ、だ……」
「……前から思ってましたけど奏羽先輩ってネーミングセンスがその…独特ですよね」
「変に気を遣った言い方をするな!わかってる!」
「ふふ、すみません。それから、ありがとうございます。本当に嬉しいです。僕だって先輩に感謝しているんですよ?」
「……颯斗は時々意地悪だ」
「相手を見てやってます」
「…知ってる」

どちらからが先か、ふっと柔らかい息が口を突いて笑い合う。
嬉しい、楽しい、素直な幸せを感じる。
こうして笑い合えるなら、しばらくはこのままの関係も悪くないかななんて思った。
先輩の卒業までにはきっともう1回告白するだろうけど。
こうしてこんな僕を受け入れてくれて、笑顔にしてくれる奏羽先輩がやっぱり好きだから。
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