強く儚く在るために

□弐
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鳥のさえずりが聞こえる。


今日も爽やかな朝がやってき――


――んなわけあるかァァァァ!!!!!!!!!!!


昨日、俺はある部屋の一角に入れられた。


そのまま爆睡してしまい、起きたら手首に縄がかけられていた。


自由が利かないので起き上がることすらままならない。


「ふっざけんな!あんの男共ぉぉぉ!!ぶっ潰してやる!!!!」


おぉぉるぁぁぁ!!!!!!!!と気合いをいれると引きちぎれる。


「こんなんで俺が捕まると思ったら大間違いじゃぼけぇ!!」


俺は………かなり怒っていた。


そりゃあもうかなり苛ついていた。


俺は立ち上がり、逃げようと襖を思いっきり開ける。


すると、


「………あ」


「…………」


赤髪の男が縁側に座っていた。


「でけぇ一人言だな」


俺を見て低音の声でくっくっと笑う男。


まさか人、否、見張りがいるとは思っていなかった。


全っ然信用してねぇじゃねぇか彼奴ら。


ま、逃げようとしたけど?


「うるっせぇな!!」


怒りと羞恥で顔が真っ赤に染まる。


つか、誰だよお前。


見たことねぇんだよ。


俺が睨んでいるとその男は立ち上がる。


すると明らかに男の方が背が高い。


結果下から睨むという形になった。


「まぁまぁ落ち着けって。折角の可愛い顔が台無しだぞ?」


「なっ…!?」


男の手が俺の頭を撫でる。


「さ、触んなっ!」


俺は手で男の手を払い、ふんと顔を背ける。


つか、俺が女って見抜いたのか。


…ますます気に入らねぇ。


「それより、なんで縄ほどけてんだ??」


俺の手を見て言う男。


「千切れた」


「いや、お前が千切ったんだろ?」


「……ああ」


面倒だな本当。


なんでもいいだろ別に。


俺は男を無視して歩き出そうとしたが。


「おぉっと」


男に行く先を遮られ先へ進めなかった。


「邪魔だ。どけ」


「無理な注文だな、それは」


ちっと舌打ちをする。


叩っ斬ってやろうか。


そう思い腰に手をかけようとすると、そこに実態の物はなかった。


「…ありゃ?」


視線をそこに向けると勿論何も無い。


まさか……


「あぁ悪ぃ。腰の物は俺らが預からせてもらった」


口角をあげていう男は、反省の色なんかこれっぽっちも見えてない。


くっそ〜!!


反撃すら出来ないってか!!


激しく憤りを覚える。


「…しばらく部屋で大人しくしてろ。もうすぐ朝食が出来るから…な?」


小さい子を宥めるような口調に腹が立つが、これ以上のやり取りは無駄と考え静かに部屋に戻っていった。



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