強く儚く在るために

□参
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「…なぁ、質問。何で千鶴は自由に動き回ってんだ?」


「ん?そりゃ、色々してもらわないといけないことがあるからな」


「なんで俺はそれを手伝えないんだ?」


「そりゃあ、もしかしたら逃げるかもしれないからじゃん」


「なんで、俺には"三人"も見張りが付いてるんだ?」


「いざというとき三人の方がいいからな!」


「厠くらい一人で行かせろぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」


只今、新選組屯所の廊下にて、


俺の見張りの原田左之助、藤堂平助、永倉新八と共に歩いていた。


「分かった!俺、もう逃げない!!諦めた!だから、自由にさせて!お願い!」


「「「却下」」」


「即答!?」


嫌だこいつら。


「ってゆーか、俺らだって好きで見張ってるわけじゃないし」


頭の上で手を組み、唇を尖らせる藤堂。


「じゃ、誰の差し金だ?」


俺が聞くと、


「土方さんに決まってるだろ。土方さん!」


永倉がそう答えため息をつく。


「土方ぁ?職権濫用か。見張りくらい自分(テメー)ですりゃあ、いいのに」


俺がそう言うと、藤堂が俺の方に向く。


「やっぱ?呉羽もそう思うだろッ!?」


何故か藤堂が目を輝かせている。


「お、おう…」


大体さぁ〜この前も…と藤堂が土方への愚痴大会が始まった。


いや職権濫用とは思うけれども、そこまでか。


そこまでなのか。


原田と永倉も呆れてるぞ。


大体、人の愚痴を聞くのはあんまり好きじゃねぇし…。


なんて思っていたら厠に着いた。


「平助も大変だな…。じゃっ」


軽く平助を庇って扉を開けると、


「逃げんなよ〜」


と永倉に言われたので、


「っるせぇばーか!筋肉馬鹿!さっさと禿げろ鉢巻き野郎!」


と、もはやただの悪口を言って中に入った。



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