強く儚く在るために
□壱
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京の治安は悪い。
人間たちがくだらない争いをしているからだ。
その治安を守っているのは、
会津中将お預かりの新選組。
だが、人気はない。
京の連中は長州びいきだからだ。
そんな京の夜を呉羽華夜は歩く。
「うがぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
突然前方で響くのは呻き声。
呻き声の主は白い髪に赤い眼をして浅黄色のだんだらを羽織った男だ。
華夜はその正体を知っている。
新選組に属している羅刹という、人間でも鬼でもない……
……紛い物だ。
だが実際に見るのは初めてだった。
俺は、ただただ羅刹を見つめる。
「血を…血をよこせぇぇぇぇ!!!!!!!!」
刀を剥き出しにし、俺に斬りかかってくる。
俺は一瞬で抜刀して羅刹の心臓を貫く。
「ぐはっ…!」
羅刹は断末魔をあげてバタリと倒れこんだ。
「…こんなもんか」
俺は既に息絶えている羅刹を見つめ、刀についた血を拭う。
刀を鞘に納めると華夜は再び歩き出した。
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