群青の空に唄ふ。

□序章
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局中法度書

一、士道ニ背キ間敷事
一、局ヲ脱スルヲ不許
一、勝手ニ金策致不可
一、勝手ニ訴訟取扱不可
一、私ノ闘争ヲ不許

右条々相背候者切腹申付ベク候也



時は幕末。

人斬りと呼ばれ恐れられた、日本最後の剣客集団が在った。

近藤勇率いる、新選組。

その中に、決して名も、存在さえも語り継がれることのなかった一人の侍がいた。

背負うのは「誠」の一文字。

血を浴びながら、時には地に這いつくばり、護り、失い、取り零し、それでもその瞳は己が行き先を見据える。

何人<なんぴと>も、その歩みを止めることはできなかった。

無様で、そして誇り高いその生き様は、これからも決して語り継がれることはない。



これは、幕末の時代に翻弄されながら、ただ己が道を貫き散った、ある侍の物語――








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