宝石箱

□アメジスト
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今日は前々から言われていた
大切な接待がある日だ
そう思うと
目覚めた瞬間から気分が落ちた

深いため息と共に
もう一度ベッドに潜り込む
ずっとこうして、やわらかな感触に包まれていたい

が、無常にもピピピっと
アラームが騒ぎだす
仕方なく起き上がり目覚ましを止めた

ブラインドを上げると
そこには、恨めしいくらいの青空が広がっていた


俺は亀梨和也、二十歳
接待があるからって、会社勤めのサラリーマンって訳じゃない
え?知りたい?職業?
それは…



キラッキラな皆のアイドル!



いや、本当!(笑)
今年デビューしたばかりの
アイドルグループKAT-TUN
の最年少メンバー

どうにかデビューまでこぎ着けたけど
デビューまで長かったけど
ここからが正念場
気合い入れて、与えられた仕事一つ一つ
一生懸命、丁寧に、大切にやってきた

でもやっぱり、やりたく無いこともある
やりたく無い、苦手なこと…

接待

でも、やらなきゃいけないこと
仕事だから…

早く大人になりたかったのに
大人の事情に、しがらみに、嫌気を感じなから

見えない糸に、締め付けられているみたいだった

考えても仕方が無い
俺はシャワーに向かった

この憂鬱な気分まで、洗い流してしまいたかったから
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