宝石箱

□会いたくて
1ページ/9ページ

私は、毎晩のように
繰り返しDVDを観ていた

彼の歌声

激しいダンスを踊る彼の
腕の動きや
指先
乱れる髪

カメラに向けられる
射るような強い視線
流すような、色っぽい視線

可愛い和也くんじゃなく

そこには
大人の男の色気漂わせる
色んな表情の彼が

カメラではなく
私を見つめているようで

ドキドキした

このDVDを観た世の女性は
きっと、彼の虜になっちゃうわ
そんな事を考えていた

気がつけば、夜も更け
寝なきゃ、そう思った時だった

DVD良かったよと、貰った翌日メールはしたけど

忙しさですれ違い
着信履歴があっても
中々話せないでいた

その、和也くんからの着信だ
「もう、寝てた?」
ちょっと元気のない声だった
「起きてたよ」
「最近、仕事忙しくて…」
「身体こわさないでね、ちゃんと食べてる?」
「うん…
忙しいのはありがたいんだ、嬉しいんだ
やっとデビューできたし
でも、全然真由さんに会えない」

DVDを届けにきてくれた日から
会っていない
あれから、一ヶ月近くたとうとしていた


「辛いんだ、俺」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ