宝石箱

□秘密
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それから、毎日のように
和也はうちに来ていた

同棲状態だった

誰にも内緒の、二人だけの秘密

誰にも、気づかれてないと思っていた
でも、桂木は気づいていたのだ…
いや、本当は皆気がついていた

キッチンに並ぶ二つのグラス…
テレビの近くに、しまい忘れたゲームのソフト…
冷蔵庫の中の、私が飲まなそうな清涼飲料水…

気をつけていても
気が付かれていた

そして、私の瞳に宿る寂しさが薄らいだこと
それが、桂木が彼の気配に気がついた一番の理由だった

仕事前に桂木とユージで、いつも二人で部屋にきて
私の身支度を整えながら、今日の予定を桂木から聞く

私はその前に、シャワーに入り
軽いフルーツメインの朝食を食べていた

でも、今は
二人で、朝食を食べている
簡単な朝食だけど
私が作る
和也も手伝いにキッチンに来ては
邪魔をする…
「そんなに、近づいたら料理しにくい」
朝、キッチンで私がよく言うセリフ

パンやサラダ、卵料理も用意して
どちらかが、朝早くない限りは
二人で朝を過ごす
忙しい二人には、朝の朝食のひと時も大切な時間だった

そして、桂木達が来る前に
和也は家を出る
仕事が午後からの日は
こっそり、寝室に隠れていることも
たまに、あった

そんな時は、こっちがドキドキ、ヒヤヒヤする

今日は正に、そんな日だった
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