私のすべてがあなたでした

□私のすべてがあなたでした
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時計を見るとまだ9時過ぎだった。
不在着信の時間帯を見ると、部活が終わり着替えた帰る頃だろうと思った。


 『かけ直した方がいいよね…』


私はコールボタンに指を置いた。
昨日たまらなく声が聞きたかった人。
今日学校であわよくば会わないかなとも思った人。

迷わずにボタンを押した…



プルルルル…



リ「もしもし。」

 『リョータ先輩?すみません電話気付かなくて…』

リ「名前ちゃん。」

 『何か用事でしたか?』

リ「ここ3日会ってないなって思って。」

 『っ!!そっそうですね…』


会ってないから?
だから電話くれたの?
だとしたら、たまらなく嬉しい…

でもそんな都合のいいことあるわけない。
私ももうそこまでバカじゃない。


リ「明日、昼休みちょっと話できないかな?」

 『あぁはい。大丈夫ですよ。』

リ「ありがとう。じゃぁ明日ね。」

 『はい。おやすみなさい。』

リ「おやすみ。」


電話を持つ手が一気に力が抜け、ケータイを落としてしまった。

明日…
明日何を言われるんだろう…

怖い。
怖いけど、行かなくちゃ。
もう逃げないようにしなくちゃ。



*****



 『こういう日って何でこんなに時間が経つのが早いんだろう…』


昨日結局一睡もできないまま学校に来て、授業を受けて後3分で昼休み開始のチャイムが鳴る。
今日の朝場所は体育館でってリョータ先輩からメールが来ていた。
いつもならまっ先に返すあなたからのメールも今日はなぜだか返せなかった…

チャイムも鳴り、体育館へ向かう。
まるで、おもりのついた足を無理矢理引っ張っていっているようなそんな感覚になりながら…


 「どうするつもり?」


体育館の入り口が見えて来た所で、中から声が聞こえた。
この声は彩子先輩…
もう1人は言うまでもなくリョータ先輩…


リ「ちゃんと断らなきゃ。」

 『っ!!』

彩「どうして?!」

リ「オレの彼女は彩ちゃんでしょ。」



ガタッ!!



 「「っ!!」」

 『あっ…』


その衝撃的な言葉に私は引き返そうとしたけれど、ポケットに入っていたケータイのストラップが壁にこすれてしまい、その拍子にケータイを落としてしまった。
はっ!としたときにはもう2人の視線は私に…


リ「名前…ちゃん…?」

 『ごっごめんなさい!』

彩「違うの名前ちゃん!」

 『ごめんなさい…!!』


私はもう何も聞かずにどこに向かうでもなく走った。
もう何も聞きたくなかった…
あんなこと聞きたくなかった。
振るならいっその事嘘の方がよかった…

いつの間にそういう関係になってたの?
私が告白した時にはもうそういう関係だったのかな?

でももう、そんなこと今はどうでもいい…

あなたの中から私という存在を消してほしい。
私の中からあなたという存在を消してほしい。

どうしたらいいの?
あまりにも残酷すぎるこの現実に神様をも恨んでしまった…





<続>
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