青い空に届いた白球
□青い空に届いた白球
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あれから三橋君はゆっくりだったけど、三星中学に行っていた時のことを教えてくれた。
そして、それが群馬にあるということも。
でも、みんなからの質問におどおどしちゃっている。
花「うっぜぇなぁもぉっっ!!」
三「(ビクッ!!)」
花「エースだったんだろ!?チームで一番だったんだろ!?まわりくどい自慢すんなよ!!」
『そんな言い方ないでしょ!?』
全「っ!!」
栄「あーあ・・・;;」
『三橋君きっと何か理由があるはずなのに、そんなこと言ったら可哀想だよ!!』
私は花井君の一言がどうしても気にいらなくて、つい声を張り上げてしまった。
田「名前っていつもあんなん?」
栄「今のはまだおとなしいほうだよ。」
泉「そんなすごいの?」
栄「何て言うか・・・三橋みたいな内気な奴や弱い奴にあぁやって言う奴が嫌みたい。」
田&泉「へぇ〜」
そんなことを話されているとも知らず私は花井君に「もっと言い方あるでしょ。」と付け加えた。
三「あっ・・・!!」
『えっ・・・?』
三「あっそのいるとっ・・・ヒッヒイキで・・・エースに・・・なっちゃう・・・カラ・・・」
『ひっヒイキ・・・?!』
阿「どーゆーこと?」
三「・・・うちの・・・ジィちゃんの・・・学校・・・ダカラ・・・」
そう言いながら三橋君は膝を抱えてしゃがみこんでしまった。
私はその様子を見守るしかなかった・・・
阿「経営者の孫だからって、エースやらせんの?ヒッデェ監督だな。」
三「カントクのせいじゃ・・・ないよ。自分から降りたって、部を辞めたっていいんだ。そう・・・しなきゃダメって・・・わ・・・わかってたのに・・・」
全「・・・・・」
三「オレ、マウンド3年間ゆずらなかった。オレのせいで、みんな野球を楽しめなかった・・・です。オレのせいで負けて・・・オレのせいでみんな野球を嫌いになっちゃっ・・・」
『三橋君のせいじゃないよ!!』
三「っ!!」
何だか色々想像ができてきて心が痛くなった。
こんな思いで三橋君が中学生活野球部に所属していたのかと思うと私も辛かった。
私は三橋君と視線を合わせるように同じようにしゃがんだ。
『三橋君は何にも悪くないんだよ!!』
阿「そうだよ。マウンドゆずりたくないのなんて、投手にとって長所だよ。」
三「・・・ちょう・・・」
阿「まぁヤナヤツなのは確かだけど。」
『・・・・;;(苦笑)』
阿「投手としてならオレは好きだよ。」
三橋君が顔を上げてくれた。
三橋君にこんな自信がないのは暗い中学生活があったから。
投げるのが本当に好きみたいだし、投手が失格なわけじゃない。
三「ごめんネ」
阿「は?」
三「投げる・・・けど・・・ガッカリさせるから・・・あやまっと・・・く。」
三橋君はマウンドに向かって歩いて行った。
<続>