私のすべてがあなたでした
□私のすべてがあなたでした
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リョータ先輩が嵐のように帰ってしまってから、私は部屋に戻りすぐに仙道さんの番号に電話をかけたみた。
『んー。仙道さん出ないなぁー』
そう、10コールくらいしたけれど仙道さんが出てくれる気配はなくやむを得ず電話を切った。
誰の番号か分からない人からかかってきている電話をかけ直してくれるか不安もあったけれど、信じて待つことにした。
すると30分くらいしてかけ直してきてくれた。
『もしもし。』
仙「仙道です。もしかして名前ちゃん?」
『はい。名前です。』
仙「宮城ちゃんと連絡先書いた紙渡してくれたんだぁー!」
『はい!今さっき届けてくれました。』
仙「名前ちゃん、今日は本当にごめんなさい。」
『こっこっちこそ、叩いちゃってごめんなさい。ほっぺた痛くないですか?』
仙「全然大丈夫。叩かれた痛さより名前ちゃんのこと傷つけちゃったって思った心の方が痛かったよ。」
『仙道さん・・・』
どうしてこんなことがサラっと言えちゃうんだろう。
まぁこれが仙道さんのいい所なんだろうけども・・・
少し、ほんの少しだけドキッってしてしまったじゃないですか・・・
私って軽い女なのかなとか自己嫌悪に陥っている今日この頃。
仙「もう名前ちゃんに喋ってもらえなかったらどうしようって思ってた。」
『そんなわけないじゃないですか。』
仙「だってあの時、最低・最悪・信じらんない・仙道さんなんか大嫌いって言われましたよ?僕。」
『そっそれは!あの時の一時的な怒りの感情から出た言葉というか・・・何というか・・・』
仙「一時的だったの?」
『きっキスされたことは正直びっくりしたし、あんなみんなの前で尚更嫌だったけど・・・でも!仙道さんこと嫌いって言ったのは、あの時の勢いというか・・・』
仙「じゃぁ、オレまだ諦めなくていいってことかな?」
『へっ?何をですか?』
仙「名前ちゃんに嫌われてないってこと。」
『諦めるもなにも!嫌ってませんって!』
仙「あはは!ならよかった。」
そう言うと仙道さんは笑い出してしまった。
あの時は嫌って思ったし、嫌いって言っちゃったけど、もう過ぎたことだし仙道さんもちゃんと謝ってくれたからもうなかったことにしようと思った。
仙道さんが笑っている意図はよく分からないけれど、仙道さんも何もなかったかのように今接してくれてるからもうこの話は終わりにしよう。
仙「あの後、オレ宮城に殴られかけたっけ。」
『えっ?!リョータ先輩が?!』
仙「うん。すっげぇー怖い顔して睨まれて、今にも手出されそうだったけど三井さんが制止してくれた。」
『そうだったんですか。さっきリョータ先輩が私が泣いて不安になっちゃって言ってくれてましたから、きっと友達泣かせたっていう思いが出て勢い付いちゃったんじゃないですかね?』
仙「それだけかなぁー・・・」
『えっ?』
仙「いや何でもないよ。そうかもしれないね。」
『はい!』
仙「名前ちゃんは宮城のこと信頼してるんだね。」
『えっ・・・?』
仙「宮城のこと何でも分かってる感じだし、あの時も宮城の声聞いて正気になってたでしょ。」
『っ!?』