始まりは突然に
□始まりは突然に
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人との関わりは凄く凄く苦手。
初対面の人と話すことも凄く凄く苦手。
だからひっそりと3年間高校生活が送れたらそれでいいと思っていた。
むしろ、誰も私に関わらないでと思っていた。
何てつまらないんだろう…私は…
頭では分かっているのに、体と気持ちは正反対。
いつからこんな風になってしまったのだろう。
だけど、私のこんなくだらない思いを軽々と吹き飛ばしてしまう人がいたなんて、この時は思いもしませんでした…
〜始まりは突然に〜
母「名前起きてるのー?」
『起きたくないけど起きてるー』
母「何バカなこと言ってんの。今日は入学式でしょー?早くしないと名前ちゃんが来ちゃうわよ。」
『はーい…』
ついにこの日が来てしまった。
高校の入学式。
やっとの思いで3年間通っていた中学にも慣れてきていたというのに、どうしてまた新しい生活に足を踏み入れなければならないのだろうか…
私は新生活の始まる春という季節が何よりも大嫌いだ。
「おはようございますー!」
母「あらぁ!名前ちゃんおはよう!制服似合ってるわねぇ〜!」
「ありがとうございます!!名前は?」
母「まだグダグダ朝ごはん食べてるのよぉ;;まったくあの子ったら…」
「名前の大嫌いな季節ですからね;;」
『ごめん!名前!お待たせ!』
「おはよう!名前!」
『おはよ〜!』
名前と挨拶を交わし私たちはこれから3年間自分たちが通う、綾南高校に足を運んだ。
隣で元気に色々な話をしてくれている名前だけれど、私は学校に近付くにつれその言葉が耳に入ってこなくなった。
「あっ!クラス表出てるよ!」
そう言うと名前はさっさとクラス表を見に走って行ってしまった。
私はというと…
入口で立ったまま固まってしまっていた。
何この人の多さ。
中学なんかと比べ物にならない…
もう帰りたいよぉ;;
「そんなとこで立ってたら危ないよ〜」
『ひゃっ!!』
「えっ。」
急に話しかけられた私はびっくりしてつい声を出してしまった。
手には自分の制鞄を抱え込んで逃げ腰になりながらも振り返った。
すると目の前にはかなり背の高いツンツン頭のしっかり鍛えられている体つきをした男の人が立っていた。
怖くはないけれど…
優しそうな人なのだけれども…
背が高いからだろうか、体つきがいいからだろうか、引っ込み思案の私には自然と怖さの気持ちの方が強くなってきた。
「えーっと…1年生?」
『はっはい!』
「えーーっと…オレ…怖い?」
『はい!…あっいっいえ!!』
「はっはっはっ!」
そのツンツン頭の男の人はなぜだか盛大に笑い出した。
その声に反応した周りの人たちがこちらを見ている。
やめてぇ…
目立ちたくないのに><
「名前は?あっオレ2年の仙道彰。」
『なっ名前…1年の…苗字名前です…』
仙「名前ちゃんね。よろしく〜」
『あっはっ「コラ!仙道!」
『ビクッ!!』
「朝っぱらから何してんだよ。この子めっちゃビビッてんじゃん。」
仙「いや、越野の声に今びっくりしたんだよ。」
越「えっ…オレ…?」
『ごっごめんなさい!!』
私はたまらずにその場から走って逃げてしまった。
越「あっ!行っちゃった…」
仙「ふっ。1年の苗字名前ちゃん。おもしろい子だな〜」
こんなことを仙道とやらの人に言われているなど知るはずもない私は名前を探した。
しかしこの人ごみの中なかなか見つからない。
「名前!!」
『名前ーー!』
「あんたどこ行ってたの?」
『いやちょっと入口で…』
「固まってたってわけね…えーっと残念なお知らせです。名前さん。」
『えっ?』
「クラス離れちゃいました;;」
『そっそんなぁーー…;;』
「まぁきっとこれは神様があんたに1人でもやってけるようになりなさいって言ってるのよ。」
『んなめちゃくちゃな…』
私たちは自教室へと向かった。
クラスが近かった名前は先に自教室へ入ってしまった。
1人でも大丈夫かと聞かれた私は、何を思ったのか大丈夫!と勢いよく言ってしまったのですが…
教室のドアをなかなか開けれずに右往左往しています。
『はぁー;;どうしよう…』
「どないしはったんですか?」
『ひゃっ!ごめんなさい!』
「えっ?」
『あっいや…』
またやってしまった。
もう最悪だぁーー…