始まりは突然に

□始まりは突然に
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 「名前、部活何に入るか決めた?」

 『えっ…?部活…?』

 「そうだよ。あれ?担任の先生言ってなかった?この高校は必ず何かの部活に入らなきゃいけないんだよ?」

 『そんなこと聞いてないよ…?』

 「じゃぁ担任が言い忘れてたんだね。」


ホントに担任の先生はそんなこと言ってなかった。
でも、名前が言うんだからホントなんだろう…


 『名前は何に入るの?』

 「私は中学と同じテニスだよ〜」

 『そっそっかぁ…』


テニス部は私入れない。
だって、私運動音痴だしテニスなんてしたことないから…


 『はぁー;;掲示板見て考える…』

 「そうしな♪」


私は部活紹介の張り紙が貼ってある掲示板へ行った。
何だかどれもこれも気合いが入っているポスターで何だかどれにも入る気にはなれなかった。

誰が部活は絶対入らないといけないなんて決めたのよぉ…


仙「あれ?名前ちゃん。」

 『(ビクッ!!)あっ…せっ仙道さん…』

仙「相変わらず挙動不審だなぁ〜」

 『うぅ…』

仙「部活入るの?」

 『だって…この高校は絶対入らないといけないって…』

仙「えっ?」

 『えっ…?』

仙「誰がそんなこと言ったの?」

 『とっ友達が…』

仙「…はっはっはっ!!」

 『なななな何ですか…?!』

仙「騙されてるよ。名前ちゃん。」

 『…えっ…?』


あのバカ名前め…
どうにかこうにかして私を誰かと交流させようとしたんだ。

まったくもぉ!!
その優しさは伝わるけど、余計なお世話ー!!


 『じゃぁ…私は帰宅部で…』

仙「せっかく見てたのに?」

 『だって…』

仙「んーそうだなぁー」

 『……』

仙「バスケ部は?」

 『…えっ…いや…そのぉ…』

仙「ん?」

 『わっ私…運動…音痴だから…』

仙「あぁ。バスケ部のマネージャーね。」

 『…はっ…?!』


何てことを言いだすんだこの人は…
こんな私がバスケ部のマネージャーなんてできるわけないのに。

マネージャーってテキパキ仕事だってしないといけない。
部員の体調管理とかその他もろもろ…

しかもめちゃめちゃ交流のある仕事じゃん!!
むりむりむりむりむり;;


 『無理です。』

仙「あれ。そういうことはハッキリ言えるんだ。」

 『無理なものは無理です。』

仙「やってみなきゃわかんないよ?」

 『だっだって…バスケ部…知り合いもいないし…』

仙「ここにいるじゃん。」

 『えっ…?』

仙「オレバスケ部。」

 『そうなんですか…?』

仙「はい。」


仙道さんは笑みを浮かべた。
その笑みは絶対何かを企んでいるような、何か勝ち誇ったようなそんな笑み…

何この状況。
やばいやばいやばい。
マネージャーなんて死んでもしない!!


 『わっ私帰らなきゃ…』

仙「ちょっと待った。」


すかさず私の腕を掴んだ仙道さん。


 『仙道さん…?』

仙「ん?」

 『そっそんな笑顔向けられても…わっ私はしませんからね…?!』

仙「どうして?」

 『だっだって…人と話すのとか…苦手…だし。』

仙「でも、実際オレと今こうして話せてるじゃん。」

 『っ!!そっ…それは…!!』

仙「自分から変わろうとしないとね。」

 『っ!!』


そう満面の笑顔で言った仙道さんは何だかとても暖かくて、優しくて…

今まで色んな人にこのセリフを言われてきた。
でも私はいつも反発の気持ちしか出てこなかった。
みんな私のこと何も知らないのにどうしてそんなことばっか言うのって…

でも仙道さんは違う。
今の私を否定して言ったんじゃない。
本当に私のことを思って言ってくれたということがすぐに分かった。
そして素直にその手助けをしてくれようとしてくれているのだということも…
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