short//鋼
□雨の日は・・
2ページ/6ページ
『大佐、しかめっ面ばかりしていても晴れませんよ。』
『天気が悪いとどうも調子が出ない。』
『雨の日は無能ですからね、焔の大佐(笑)』
ハボックとブレタが笑いながら言う。
その言葉に終始しかめっ面だったマスタングは反論はせず、認めたように溜め息をついた。
いつもと様子が違う。
そう感じたのはホークアイだけではなかった。
そんな時だ。
「大佐ーっ!!!」
バンッと勢いよく開いたオフィスの扉。
その場に居た誰もが肩を竦めた。
『お、脅かさないでよリーシャちゃん(汗)』
ファルマンは溢してしまったコーヒーを拭きながらリーシャを見る。
「あはは、すみません(汗)」
『で、今日はなんの用だリーシャ。』
「別に?
大佐に会いたいなーって思って来ちゃいました☆」
『語尾に星を飛ばすな、星を。』
この悪天候を吹き飛ばす勢いのテンションに、マスタングは溜め息をついた。
これでも、あの鋼の錬金術師と肩を並べるくらいの天才なのだから、マスタングは何も言えなかった。
『いつも元気ですよね、リーシャちゃん。』
「いやいや、私だって落ち込むときくらいありますよ〜」
彼女の言葉に、みな苦笑するだけだった。
そもそも、リーシャが落ち込むところなど、誰も見たことないのだ。
だがマスタングには分かっていた。
彼女が今、どんな精神状態にあるのかを。