short//鋼
□逢いたいワケ
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――去年の冬――
「ちょっと待ってよエンヴィー!」
朝から少し様子がおかしかった彼。
問い掛けても曖昧な返事ばかりで、私は不安が募るばかりだった。
「ねぇ、どうしたの?
具合悪いの?」
『そんなんじゃ…ないよ。』
嘘はついていない。
でも様子が変だ。
『……………リーシャ。』
「なに?」
『僕が…居なくなったらどうする?』
予想もしてなかった質問。
その意味はまだ分からなかった。
「どうしたの急に?
居なくなるって…」
『例えばの話だよ!』
例えば…
そう言ったけど、あなたの表情は何処か…寂しそうだった。