キオク
□Side story〜黒子〜
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「・・・あ、繋がりました。」
『・・・黒ちん、さっきからなにー?』
みょうじさんに会った日の夜。
紫原くんに電話をかけました。
理由は赤司くんからこんなメールが僕と、他のメンバーにも送られたからです。
【全員、なまえが敦を思い出すように努力をしろ。そして、会った日の夜には敦に連絡をいれること。】
きっと、赤司くんなりに紫原くんを心配したんでしょう。
紫原くんに5回かけてやっと繋がった電話。
出なかった理由は想像がつきます。
声が・・・かすれているから・・・。
泣いていたんですよね?紫原くん。
「みょうじさんについてです。」
『・・・え?』
「みょうじさん・・・優しいところは全く変わっていません。」
『・・・・・・。』
今日泣いたのは、きっと紫原くんの気持ちを考えて・・・でしょう。
泣いていた、でも・・・結局思い出すことはできませんでした。
目覚めて1ヶ月も経つのに。
相手の苦しみ、悲しみを理解して泣いてくれるみょうじさん。
記憶を失っていても、その優しさは変わらなくて・・・。