キオク
□笑顔の記憶
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「なまえっちー、来たっスよー!」
「・・・・・・。」
「・・・なまえっち?」
黄瀬くんが来てくれた。
でも、私はベッドにもぐったまま。
「なまえっちってば!」
「・・・っ!!」
黄瀬くんが無理やり掛布団を剥がす。
黄瀬くんを見ると目が合う。
・・・私を見た瞬間、悲しい顔をした。
「・・・また、泣いてたんスか?」
「・・・(コクリ)」
黒子くんが来てから、ずっと泣いてばかりだった。
忘れた方の身になってみると、とても悲しかった。
自分に腹が立って。
自分が嫌いになりそうで。
ここ数日にみんな来てくれたけど、すぐに帰ってもらった。
ご飯も喉を通らなくて、お医者さんに心配されるくらい。
一人になりたかったんだ。
ちゃんと自分と向き合えば、思い出せるんじゃないかって。
・・・けど、なんの解決にもならなかった。
考えれば考えるほど、辛かった。
あの夢は、いつものように見る。
どこかで聞いた声なのに・・・なにも思い出せなくて。
呼ばれているのに、返事が出来なくて。