キオク
□記憶の中で
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「みょうじ。」
「!」
日曜日の昼。
緑間くんがコンビニ袋を持ってお見舞いに来てくれた。
コンビニ袋を見つめる私に気づく緑間くん。
ベッドの横に椅子を持ってきて、中身を私に手渡す。
「もう秋だが、残暑がある。かき氷を買ってきたのだよ。」
【わぁ・・・ありがとう緑間くん!!】
「お前がかき氷を好きなのを思い出したのでな。」
かき氷を頬張る。
冷たくて気持ちいい。
「黄瀬から聞いた話だ。」
「?」
「お前が眠ってから、あいつはかき氷を避けていたらしい。」
みんなの言う「あいつ」は、きっと私が忘れた人の事。
名前は・・・目覚めたときに赤司くんが言っていたけど、忘れてしまった。
名前さえも思い出せない。
私は、なんて愚かなんだろう。