キオク
□Side story〜紫原〜
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「それで、なまえも抱きしめ返してくれたんだよー。」
「・・・そうか、よかったな敦。」
「うん、赤ちんありがとう。」
「僕は、なにもしていないよ。」
なまえの家に帰った後、さっそく今日の報告を赤ちんにした。
赤ちんとオレは、明日の朝帰る。
だから、一番迷惑をかけている赤ちんには伝えたかった。
記憶が、戻りそうかもって。
「また近いうちにこっちくる〜。赤ちんは?」
「それじゃあ、僕も来るよ。」
「なまえ、もっと思い出してほしいな。」
「・・・・・・。」
こっちに来てから、不思議と思うことがあった。
それは、なまえの話をすると赤ちんの元気がなくなること。
最初は気のせいだと思っていたけど、どうも違う。
悲しい顔をする。
「それじゃあ敦、僕はもう寝るよ。」
「!わ、わかったー。」
そう言って部屋から出ていく赤ちん。
どこか、ぎこちない。
布団に寝転がる。
目を閉じれば、今日の記憶がよみがえる。
なまえ・・・今日たくさん笑ってくれた。
オレの大好きな笑顔で。
不思議と笑みが漏れる。