ありがとう
□episode2
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「みょうじ、お前の席はあそこだ。今日の授業は隣の緑間に世話してもらえ。」
「あ・・・はい。」
なまえ・・・いや、みょうじがこちらに近づき席につく。
「よろしくね?緑間くん。」
「・・・ああ。」
「HRは終了だ。各自授業の準備をするように。」
ガヤガヤしだす教室。
みんな隣のみょうじを見ている。
話す勇気がないのだろうか。
「おい、みょうじ。」
「(ビクッ)は、はい!」
「机。」
俺が机に出した教科書を指さしながら言った。
「あっ・・・ありがとう。」
意味を悟って優しく笑う。
笑い方なんかは、もうあいつそっくりで。
不覚にもドキっとしてしまう。
とても懐かしい感覚だった。
「よっ、真ちゃん!」
「・・・高尾。」
みょうじが机を付けたと同時に高尾がこちらに来た。
「よろしくな!みょうじなまえちゃん!俺、高尾和成!」
「あ・・・よろしくね。」
「なまえって呼んでいい?俺苗字って堅苦しくて嫌いなんだよなー。」
「うん、もちろんいいよ。」
「やりぃ!」