キオク

□Side story〜黒子〜
2ページ/2ページ






『なまえ・・・元気にしてる?』


「はい。」


『ねぇ、黒ちん・・・。』


「・・・はい?」




次にくる紫原くんの言葉は、想像がつきませんでした。




『オレ、なまえを忘れようとした・・・。』


「・・・っ!」


『他の女の子と一緒にいれば、いつか忘れられる。そう思った。』


「紫原くん・・・。」




きっと、紫原くんはボロボロ寸前だったんでしょう。


2年も待って、でも記憶をなくして・・・。


彼の痛みは、僕には到底理解できないくらい大きいもなんでしょう。




『でも・・・忘れられないんだぁ・・・。』


「・・・・・・。」


『他の子と一緒にいたら、ますます思い出す・・・あの日々。なまえと一緒にいた時間が・・・長すぎた・・・!!』


「みょうじさんも紫原くんも・・・泣き虫ですね・・・。」




電話はそのあとすぐに切った。


これ以上聞くと、電話の最中なのに・・・気づかれてしまう・・・。




「・・・っく・・・ヒック・・・!!」




僕が泣くべきじゃないんでしょう。


でも、二人の話を聞いていると・・・なぜか切なくなってしまっているんです。


必死に思い出そうとしているみょうじさん。


忘れようとしてダメだった紫原くん。


二人の関係を知っているからこそ、辛いのかもしれませんね。


すれ違っている二人をみるのは、思ったよりも辛かった・・・。










                               完!!
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ