キオク
□Side story〜黒子〜
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『なまえ・・・元気にしてる?』
「はい。」
『ねぇ、黒ちん・・・。』
「・・・はい?」
次にくる紫原くんの言葉は、想像がつきませんでした。
『オレ、なまえを忘れようとした・・・。』
「・・・っ!」
『他の女の子と一緒にいれば、いつか忘れられる。そう思った。』
「紫原くん・・・。」
きっと、紫原くんはボロボロ寸前だったんでしょう。
2年も待って、でも記憶をなくして・・・。
彼の痛みは、僕には到底理解できないくらい大きいもなんでしょう。
『でも・・・忘れられないんだぁ・・・。』
「・・・・・・。」
『他の子と一緒にいたら、ますます思い出す・・・あの日々。なまえと一緒にいた時間が・・・長すぎた・・・!!』
「みょうじさんも紫原くんも・・・泣き虫ですね・・・。」
電話はそのあとすぐに切った。
これ以上聞くと、電話の最中なのに・・・気づかれてしまう・・・。
「・・・っく・・・ヒック・・・!!」
僕が泣くべきじゃないんでしょう。
でも、二人の話を聞いていると・・・なぜか切なくなってしまっているんです。
必死に思い出そうとしているみょうじさん。
忘れようとしてダメだった紫原くん。
二人の関係を知っているからこそ、辛いのかもしれませんね。
すれ違っている二人をみるのは、思ったよりも辛かった・・・。
完!!