キオク

□Side story〜黄瀬〜
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『ねぇ、黄瀬ちん。』


「なんスか?」


『オレ・・・なまえのこと好きでいいのかな・・・。』


「・・・は?」




紫原っちの声が突然弱々しくなる。


なに・・・言ってんスか?




『なまえはオレのこと忘れた。もう、オレ達は結ばれない運命なのかなって・・・。』


「なんで・・・」


『諦めろってことかな?なまえがオレのこと忘れたからオレもなまえを忘』


「なんでそんなこと言うんスか!!?」




今日、紫原っちにも怒鳴った。


もう何なんスか2人して・・・。


似た者カップルっスね、やっぱ・・・。




「紫原っちは何聞いてたんスか・・・なまえっちは思い出そうと努力してんスよ。」


『だって・・・』


「また待ってればいいじゃないっスか!彼氏なら・・・なまえっちのこと待っててやれよ!!!」


『黄瀬ち』




ブチッ




無理やり携帯を切った。


その場にしゃがみ込む。




「はぁー・・・」




イライラするのは・・・2人の気持ちが矛盾してるから。


思い出そうと必死ななまえっち。


忘れた方がいいと思っている紫原っち。


もう、どうしたらいいんスか・・・。




「あの2人が幸せになる方法は・・・ないんスかね・・・。」




無力な自分にも、腹が立つ。


ベッドに顔をうずめる。


うずめた瞬間、目のあたりが濡れたことに気づく。


もう、前みたいな2人の姿をみることはできないんスかね・・・。




「・・・くそっ・・・!!!」











                                  完!!
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