キオク
□記憶の中で
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「あいつは、どんな些細な日常での出来事でも・・・みょうじを思い出していたのだよ。」
「・・・。」
「思い出すたびに泣いた。お前の元へ来て。」
みんなが言う「あいつ」の話は、いつも私の心に刺さる。
私を想って、苦しんで。
私は眠っている2年間の間で、とても大切なものを置いてきてしまったのかもしれない。
携帯を取り出し、文字を打つ。
【眠っている間に、大切な記憶置いてきちゃった・・・(/_<。)】
それを見た緑間くんは、笑顔になった。
悲しい顔は、しなかった。
「置いてきて、そのまま放っておくのか?」
【え?】
「置いて来たのなら、取って来ればいいのだよ。」
緑間くんの視線が、私から海へ行った時の写真へと移る。
真剣な目をしていた。