Souji

□white
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しん、としている。


傍から見れば
恋仲である私たちには
奇妙なほどの静けさであろう。

けれど
今の私にはこれくらいの静寂が
恐ろしく似合いなように思える。

もやもやした、言葉では言い表せられないような、なのに人に話してしまいたいような、
自分だけのものにしておきたいような、

そんな混沌としたものが私の中で
ぐるぐると掻き立てるのだった。

自分でもどうしたらいいのかわからない。




「舞千代」

落ち着いた声が、私の部屋に響く。


ああ、


これだ。

私が一番好きな声。


「やっぱりさ。君、なんか変だよ」

彼は鋭い。
きっと私のことなんてお見通しなのであろう。


「え、そんなに変「だから変だよって」」

彼は間髪入れずに聞いてくる。
言うべきだろうか。

「はー、やっぱりめんどくさいよ、君」


ああ、もう、

泣きそうかも。

すると彼はおもむろに私に近寄って

私の頭を、抱き寄せた。

すると一人では出なかった涙が
瞬きもしないのに
ぽろぽろとシミを付けていった。


やっぱり私、この人が好きだ。


障子の隙間からは、はらはらと、白い雪が。


そのふらふらと、漂う姿は、

とても彼に似ていると思う。

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