Souji
□タッチアンドゴー
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もうやだよ。
沖田君が、
そうやって他の女の子と
仲良くしてるの、
見てて傷付かないと思ってるの。
私にばかり、意地悪して。
他の子には優しいんだ。
沖田君についていけないよ、
好かれてる自信、ないよ。
沖田君が好きだって、
言ってくれたから、
私も沖田君が好きだから、
寄り添ってきたんじゃないの?
なのに、今日だって、
「沖田君、隣のクラスの子が
呼んでるよ」
私が呼び掛けても、
彼は机に突っ伏したまま動く
気配がない。
「…うるさいな、今寝てるの、
わかんないの?」
「え、でも、隣のクラスの子が、」
「知らない、後で行くって言っといて」
なんか、ほんとに
沖田君は、私のこと好きなの?
もう、嫌いになりそうだよ、
瞬きもしないのに
両眼から雫がながれ落ちた。
.
「はぁ」
ちょっと言い過ぎたかな、
もう少しで、泣きそうだもんあの子。
授業をサボって寝てたらもうこんな時間だ。
「…泣いてるかな」
僕は立ち上がり、
既に誰もいなくなった教室から
早くでようと、扉に手をかけた。
.
誰もいない公園ほど、空っぽなものはない。
ましてや、この虚無感と鬱蒼と茂る木々の閉塞感の中で
恋に憂いて、泣くなんて。
「あれ?やっぱり泣いてたんだ?」
この声は、
「沖田君、なんで」
「なんでって言われても、彼女が泣いてるのにほっとくわけ?」
「もう!私に構わないでよ!」
正直我慢の限界だった。
立ち上がり走り出そうとしたその時、
「いかないで、」
不意に抱きしめられた。
「…僕のこと、嫌いになった?」
そんな顔して、言わないでよ
「嫌いになりたくないよ」
「舞千代ちゃん、」
こんなときの彼の表情は狡い。
嫌いになんて、なれないよ。
「酷いこと、ばっかり言って、ごめん。他の子と話して、ごめん。」
沖田君は、そのまま続けた。
「僕は、君しか好きじゃない」
「…お、きた君、」
沖田君、あなたには、
「…かないっこないよ」
fin.
タッチアンドゴー
(つまりは、ツンデレーション)