人生ゲーム

□第三章
1ページ/4ページ

「…っ……!」


頭がガンガンする。

なんだここ……、暗くて、何も見えない…。


「!!」


あ、これ……アイマスクか。

俺は痛む頭に顔をしかめながら、アイマスクを取った。


「うっ…え、ん……どう……?」


眩しい光に目を細める。
目の前には円堂が倒れていた。


「え、円堂…!」


周りをよく見ると、豪炎寺や染岡、半田、木野...と、
俺達がまだ、サッカー部としてスタートした時のメンバー…。

“雷門イレブン”のメンバーがいた。


「…皆!大丈夫か!?」

「……っん…」


俺の声に近くにいた半田の手が微かに動いた。


「半田!?」


半田のアイマスクを外し、顔を覗き込む。


「半田、大丈夫か!?」

「……か、風まっ痛……!」


起き上がろうとして、いきなり頭を押さえる半田。


「半田!!」

「っ……頭痛い…。ここは……?」


俺は「分からない」と首を振った。


「んっ…痛ってぇ……」

「円堂…!」


円堂も目を覚ましたのか、自分でアイマスクを取り、ゆっくりと起き上がった。

頭痛がするのか、時折頭を抑え顔をしかめた。


俺は円堂が目を覚ましたことにホッとした。

その後、
次々と皆が目を覚ました。

しばらくは皆頭痛であまり動けず、ひどい者にはあまりの痛さに喋れない者もいた。


少し、ゆっくり休んで………

どれくらい時間がたったのだろうか。もう1時間過ぎたような感覚がしたが、多分実際は数分にすぎないだろう。


「…なんで、俺達だけが……」


豪炎寺が言った。
そその隣で不安そうに木野が首を横に振る。


「お兄ちゃん達が……いない…」


音無もさっきまでの明るい笑顔はなく、泣きそうなかおをしていた。


皆、訳の分からない恐怖に怯えているのだ。


……そうだ。

なんで俺達だけなんだ?
鬼道は?アフロディは?源田は?


……鈴は?


それにここはどこなんだ?
わからない……

どうして……?


.


.


.


.


.


.


.


.


.


.


「クスクス...」


可愛らしい笑い声が暗闇から聞こえてきた。
しばらく、笑い声は続いていた。


暗闇の中には一人の少女……鈴がいた。

鈴の服装はさっきと変わっていた。

まるでいろんなものをくっつけたかのような、アンバランスな服。
胸ポケットに安全ピンや大きなボタン、片方は肩までの袖なのにもう片方は長袖。シンメトリーで滑稽なピエロのようで。

……まるでカオスだ。


鈴は目の前のテレビを見つめた。


「次わぁ…」


鈴は手元にあるダイヤルを回た…
すると、ブツッと音をたて鈴の目の前にある、大きな画面の映像が変わった。


円堂達がいる部屋は消え、ヒロト達のいる部屋に写り変わった。

それを見て、


「…君達は昔から仲良しなんだよね?…大切な“家族”だよね?……ねぇ、“家族”と“仲間”。君達はどっちを選ぶのかな……?」


にっこりと笑う。


「……楽しみだね♪」


そう言って、
少女はテレビの音量をあげ、“それ”をギュッと抱き締めた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ