人生ゲーム
□第五章
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……。
…………───
……───…………。
「…次は俺達か」
誰に言うわけでもなくヒロトが呟いた。
予めルーレットで決めた順番。
それは運命の順番だった。
「どうする?誰が……その、“駒”に…」
遠慮がちに風介が言った。
ヒロト達が風介を見た。
風介は気まずそうに目を閉じた。
晴矢が不機嫌そうに舌打ちをした。晴矢は手が微かに震えてるのにイラついているのだ。
ヒロトはふぅ、と小さく息を吐いた。
「そうだね、じゃあさ…」
ちらりと鈴を見て、
「…俺行くよ」
「はぁ!?お前、正気かよ!?」
晴矢が驚いて声をあげた。
ヒロトに思いっきり掴みかかる。
ヒロトは少し苦しそうにうめき声をあげたが、直ぐに晴矢の肩を突き飛ばした。
「必ず誰かが行かなければいけないんだ!」
いきなり大声をあげたヒロトに皆が驚いた。
「……しょうがないさ」
ヒロトは俯きながら静かに言った。
「……っ!」
晴矢は強く歯を食いしばっていた。
手の震えはまだ止まらない。
暫く沈黙が続いた。
すると、
「…私も行こう」
「!?──お前まで……」
沈黙を破ったのは治だった。
彼の言葉に晴矢が反応した。
そんな晴矢を横目に治は静かに口を開いた。
「確か“駒”は3人必要なんだろう?ならいいだろう」
その言葉を聞いて、緑川が頭を抱えた。
「そんな…、何もよくないよっ……!!」
震える声から出てきたのは仲間を思う気持ち。しかし……
「…っ!分かったよ!じゃあ俺も行く!!」
「「!?」」
晴矢が拳を強く握った。
「晴矢、治……。これはとても危険なんだよ?」
「うるせー、それはヒロト!てめぇもだ!!どうせ足りないと失格なんだろ?危険も何もねぇよ!」
「3人とも……止めようよ……」
泣きそうな声、
「はぁ…。しょうがないよ……」
ヒロトは苦笑いしながら今にも泣きそうな緑川の肩を叩いた。
「晴矢の言う通りだね」
「……っ!!」
彼等の様子を見て、風介は息が止まるような感覚に陥った。
これが、
“運命”なんだろうか?
…………なぜ?
こんな目に会わなければいけないんだ?
「……行こっか」
そっとヒロトが言った。
“行ってきます”
「……回すぞ」
「………うん」
風介の言葉を合図に、
俺達はルーレットを見つめた。
風介は少しためらっているようだった。当たり前か。下手したらこれで俺達の未来が変わるのだから。
だからといって何もしないわけにはいかない。
何でだろう?何故かそう思うのだ。
きっとそれは俺だけじゃないはず。
風介は溜め息に似た呼吸をし、ーレットを回した。
カラカラと音をたて回りだし……
カラカラカラカラ────……
ゆっくり止まった。
示されているのは…
……7
「これって…!」
そうだ、この数は……!
鈴と同じ……!!
「……ヒロト」
治が険しい表情で俺を見た。
俺は小さく頷いた。
3人一緒に歩きだす。
鈴がだんだん近づいてくる。
俺達が近づいていく。
そして、
同じマスに────。
.
「しょくぎょー?どーする??」
俺のそばにいたぬいぐるみが言った。
そうだ。
鈴はこの時、
“死神”を……選んだんだ…。
ぬいぐるみが話すのに違和感がなくなってきた。何で?そんなことあり得ないはずなのに。
鈴の時と同じように、カードが飛んできた。
………
……────。
……。
そこで見つけたのは……?
「……これ…!」
俺は説明文を何度も読み返した。
「…決まりだな」
「あぁ」
晴矢と治も頷いた。
これで、
俺達の職業が決まった。
それは…
『……“──”……?』