人生ゲーム
□第五章
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カラカラカラ──…
出た数は…4。
今までの中で一番小さい数だ。
「えっと、なになに?『仕事に入る』だって」
吹雪が持ってるぬいぐるみが話し始めた。
「また仕事かぁ。あらでも仕事に入ってないと“ニート”か“フリーター”だもんね」
「あれ?ニートはないか。」
「仕事、入ろ!お金貯めよう!働くって良いことだもんね!」
「何するー?あ、カード!カードちょうだい、カードちょうだい!!」
ぬいぐるみはひとりで話し続けていた。
「な、何……?」
「こいつ……」
「かなりおしゃべりなぬいぐるみだなー…」
戸惑う吹雪やぬいぐるみを睨む飛鷹。
その隣で苦笑いで頭を掻く綱海。
吹雪のぬいぐるみは楽しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねる。
そしていくつかのカードが三人の前に飛んできた。
「……三枚か」
「もとが少なかったからな」
目を細める吹雪を見て綱海もカードを見た。
「どれにするー?どれにするー?」
ちょこちょことぬいぐるみは動き回る。飛鷹が鬱陶しそうに見つつカードを見上げた。
「…!!吹雪さん…」
「え?」
「これって……」
「はっなるほどな」
飛鷹の声に2人は彼が見ている方へと目線を動かした。
綱海は彼らしくない、嘲笑するような笑みを浮かべた。
「決めたー?あ、決まったよ!」
ぬいぐるみが吹雪の足下で
「あのねー、あのねー!!」
くるくると回った。
「“神”だよー!!」
『……あ………』
“それ”が小さく声を上げた。
「…神……」
死神よりも、悪魔よりも強く…
そして……
“脆くて危険”
「…私より…強い……」
強いのに、なんで…!
「…守って……」
鈴の様子が可笑しいのに気づいたのは、ひとりの少年だけ。
「…?」
「…守ってくれなかったじゃんか……」
ヒロトは目を見開いた。
「……え?」
しかし鈴の小さな呟きは、静かに空気の中に沈んでいった。
「…?」
ヒロトの視線に気づいた鈴がゆっくりとヒロトを見た。
「!!」
ヒロトと目が合った。
「あ……」
「…私、“神”が“嫌い”なんだ」
「っ!」
鈴は、
にっこりと笑っていた。