はうあー、ゅぅー?

□story.7
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「あ…」


遠くから複数の足音が聞こえてきた。
そして程なくして現れたのは春奈、鬼道、円堂、豪炎寺、染岡だった。


「な、何だよこれ…」


円堂が私達を見て呆然としていた。

そりゃそうだ。窓ガラスは割れ、私が持っているのは血まみれのバット。
そして私も未留亜ちゃんもところどころ血が出ていて汚れていた。それにプラスして未留亜ちゃんは気絶しちゃってる…。
何かがあったなんて一目で分かる。


「まさか、霧鳩先輩が…!?」

「「!?」」


ちょっと待て、何故そうなる。
……ああ、ジャージの件か。そういえば今の状況からすれば、私が悪いことしてるみたいに見える。
まぁいいや…。


「とりあえず未留亜ちゃんを運んで」

「な、お前自分が何をしたのか分かっているのか!?」

「やめろ、鬼道!」

「しかし円堂っ…」


2人の様子を見て私は小さく溜め息をついた。


「私は何もしていないよ。“私達”は何も…。とにかく未留亜ちゃんを運んで!!」

「…あぁ、鬼道」

「くっ…」


円堂と鬼道が未留亜ちゃんを起こし運び出す。
そのとき鬼道に睨まれた気がした。

私はまた溜め息をついた。掃除しないとなぁ…。


「…霧鳩先輩」

「ん?」


呼ばれて振り向くとそこには私を睨みつけている春奈が。……兄弟。


「…帰ってください」

「…」

「未留亜先輩を苦しめて何が楽しいんですか!?貴方はどうしてそう平然としていられるんですか!?」

「…これでも焦っているつもりなんだけどな」


てか、その言葉は私じゃなく主犯の人達に言うべきかと…。


「なんですかそれ…、もしかして私たちに見つかってしまったからですか?だいたい何でバットなんか持ってるんですか!?血もついているし…」

「カラス撃退と血は自分の」


その時染岡が壁を蹴った。


「何だよそれ。つくならもっとマシな嘘つけよ」

「嘘じゃないし」

「ふざけんなっ!!」

「っ!」


ぐいっと思いっきり胸ぐらを掴まれた。


「こんな状況で何言ってんだよ!?」

「だから…私は何も…っ」

「じゃあ誰がやったんだよ!?」

「……」


これは言ってもいいのだろうか?
こういうのって本人に聞いてからのほうがいいんじゃ…。


「何とか言えよっ!」

「よせ、染岡」

「豪炎寺…」


今までずっと黙っていた豪炎寺が口を開いた。
勿論それは私の為ではない。
そんなことは分かっていた。


「そんな奴はどうでもいい」

「…俺は仕返しなきゃ気がすまねぇ」


染岡は思いっきり私を睨んだ。
今にも飛び掛ってきそうな勢いだ。おー怖い怖い。


「それは今じゃなくていい、足場も悪いしな…。……行くぞ」


豪炎寺も私を睨むと、私に背を向け行ってしまった。染岡と春奈もそれに続いた。


「ふぅ…」


疲れた。
どうしてこんな事になってしまったんだろうか。

私はバットを置くと倉庫からほうきとちりとりを取り出し、飛び散っているガラスを片付け始めた。

あの時見た影…、あれもファンなんだろうか。でもまさかここまでするとは…。

私は集め終えた破片を倉庫にあった古新聞紙で包んだ。


「っ痛」


あ…やっちまった。
私は小さく舌打ちして切ってしまった人差し指をくわえた。結構深く切ったみたいで血は止まってくれなかったが、もうめんどくさいから放っておいた。

あーあ、手洗わなきゃ…。
そういえばバットも洗わないといけないし。

何だろう…。
こっちに来てから良い事が無い気がする。


少しだけ赤い染みをつけた新聞紙、その部分を隠すようにしてガラスを包み込むとポケットに入れてあったビニール袋に入れた。


(今更問いかけたところで、答えなんて…)

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