小説
□末期な人、無防備な人
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冬の寒さから春の暖かさに移り変わろうとしている今日この頃。
俺は最近の寝不足を補おうと屋上に出た。暖かい日差しもあるし、他のサボり生徒も見当たらない。
もってこいの環境だ。
羊を数える間もなく俺は眠った。
いい匂いがする…
なんの匂いだ?
屋上にいたはずなのにこの香は何だ。
薄い意識の中で俺は手を動かして辺りを探った。
探るといってもそれはすぐ側にあった。
小刻みな呼吸に触り心地の良い細い髪、暖かな体温に小さな身体。
知ってる。
この存在は知っている。
間違えるはずもない唯一の存在。
ああ、ルキアだ。
…ルキア!?
俺はは寝ていた体を勢いよく起こした。
大きく目を開けて確認してみても横で寝ているそれは紛れも無くルキアだった。
「ん〜」
色々とやめてください。朽木さん!!
「ルキアっ」
起きる気配無し。
俺は慌てて周辺確認をした。誰かに見られてはまずい。
しかしそれは杞憂に終わった。