短編小説

□割れた金魚鉢(終)
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住宅街の一軒家で、お父さんとお母さんと祖母と私、四人不便なく暮らしていた。
しかし突然
私の高校の入学式の時、お母さんは嬉しそうに私に言った。
「舞!これから貴女に妹が出来るわよ!」

最初はどういうことか分からず、
話を聞いていると
どうも親戚のおじさんの家族がが事故にあったようで
一人だけ生き残った5歳の亜美ちゃんを引き取ることになったらしい。
なんとも言えない複雑な事情だったが今まで一人っ子だった私は亜美ちゃんが来るのを楽しみにしていた。

話から3日後、
亜美ちゃんはお母さんに連れられて家に来た。
少し緊張していて、不安そうにお母さんの手を離さないようしっかり握りしめ、周りをキョロキョロしてるようだった。
「あーちゃんのは?」
寂しそうに何度もお母さんに聞いていた。
きっと事故でなくなってしまったおじさんを探しているのだろう。

「これからは亜美ちゃんは私たちとこの家で暮らすのよ?」
お母さんはなるべく刺激しないように亜美ちゃんの高さまでしゃがんでニッコリ笑った。

私もお母さんと同じようにしゃがんで亜美ちゃんの頭をそっと撫でた。
「私、舞!亜美ちゃんこれからよろしくね!」
すると、
亜美ちゃんは、私の髪飾りの赤いリボンをずっと見ていた。

「これがほしいの?」

髪をほどき、亜美ちゃんに見せると嬉しそうに目を輝かせたので亜美ちゃんの長い髪を束ねて一つ結びにしてあげた。

すると嬉しそうに「ありがとう。」と笑顔になったので私まで笑顔になった。
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