ハンター試験編
□#06 心の距離
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走り始めて二時間が経過した。
「へー。
つまりゴンはハンターの親父を探すために、自分もハンターになるってワケか。」
暗く長い道のりな上、ゴールも分からず走り続けなければいけない試験は予想以上に過酷で、離脱者も続出している。
そんな中、未だ少しもバテていない最年少組は自分たちの身の上話に花を咲かせていた。
「うん。
カイトっていう親父の知り合いが、ハンター試験のこと教えてくれたんだ!」
「ふーん。お前すげぇのな。」
「ゴンならきっとすぐにお父さんを見つけられるわ!」
「ありがとう。」と照れながら笑うゴン。
父親が唯一残して行ったという釣り竿を、ぎゅっと握り締めた。
「ジュリは何でハンターに?」
息一つ荒げることなく、キルアは尋ねた。
「わたしはね、自分の国を守るために強くなりたくて…。」
「自分の国?」
「ジュリはモンテリーニっていう国の王女様なんだよ。」
すでに彼女の事情を知っているゴンが、さらりと言う。
「うそっ、まじ!?」
「って言っても、そんなに大きな国じゃないんだけどね。」
「…でもさ、何か次元が違うってゆーか。」
家族全員暗殺一家の自分のような人間もいれば、彼女のように一国を背負って生きている人間もいる。
キルアは何とも言えない複雑な気持ちに襲われた。