ゾルディック家編
□#24 素直にならなきゃ
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「うわぁー!!
ククルーマウンテンでっかぁ」
アイリは目の前にある標高3722mもある山を見上げて叫んだ。
ハンター試験を終えて三日。
アイリ、ジュリ、ゴン、クラピカ、レオリオの五人はパドキア共和国に来ていた。
全ての試験が終わった後に目覚めたアイリとゴン。
彼女たちは失格者が誰なのか、また何故そうなったのかを、試験官であるサトツから聞いた。
ゴンはキルアを洗脳したイルミに酷く腹を立て、握力だけで彼の片腕を骨折させた程だ。
一方アイリは、意外にも冷静だった。
彼女はキルアの闇の一面を、人より多く見ていたし、いつかこんな日が来るような気さえしていた。
サトツは一言一句そのままに、あの時の状況をアイリたちに伝えてくれた。
『…キルア。
一次試験であたしが、“何があっても友達”って言ったこと覚えてくれてたんだね。
だからあたし…
その約束を守り抜くよ。』
暗殺一家ゾルディック家の私有地であるククルーマウンテンを見つめ、アイリはこの中にいるであろうキルアに向かって語りかける。
「…ジュリ、顔色が悪いが大丈夫か?」
青白い顔で山を見上げるジュリに、クラピカは優しく尋ねた。
「…平気よ。
ありがとう…」
力なく微笑む彼女は、クラピカと目を合わせようとしない。
ジュリは最終試験で彼にひどい態度をとってしまったことを、まだ引きずっていた。
「…あんたたち、そんなとこで何してるんだい?」
ここまで送ってもらった観光バスに、
「帰りはいいです。」と乗車を断った五人。
しかし、物凄く厚く高い塀に行く手を阻まれ、どうしたものかと途方に暮れていたのだ。
「ここから先には入れないよ。」
見かねた守衛さんにそう言われ、ゴンはキョトンとした顔で尋ねる。
「俺たち、友達に会いに来たんです。
おじさん、キルアにはどう会えばいいの?」
あまりにも屈託のないその表情に、何かを感じたゾルディック家の守衛・ゼブロは、彼らにこの家のシステムを教えることにした。
「…つまり、この試しの門とやらを開けないと、中にいるバカでけぇ犬に食われちまうってワケか。」
中に入るのもままならない状態を把握したレオリオは、ちっと軽く舌打ちをする。