天空闘技場編
□#32 心配すんな
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「うわっ!
高ーい!!!」
アイリは目の前にそびえ立つ、高さ991メートルの建物を見上げる。
クラピカ、レオリオと別れた四人は今、小遣い稼ぎと修業を兼ねて天空闘技場に来ていた。
受け付けを終えて、早速会場の中へ入る。
─ウォォォー!!!─
そこら中に響き渡る雄叫びに、むせかえるような熱気。
ここ、天空闘技場は闘いを求める男たちや、それに見合った報酬を狙う者たちが集う「野蛮人の聖地」なのだ。
「もう、キルア!
いつまで膨れてんの!?」
登録者が最初に試合を行う一階フロアで、自分たちの名前が呼ばれるのを待つ四人。
アイリは先程からずっと拗ねて口を聞かないキルアを肘で小突いた。
「……うるせーな、ほっとけ。」
「あのねぇ…。
あたしたちは修業も兼ねてここに来てんだよ?
ジュリちゃんだって闘いたいに決まってるじゃん!」
「……。」
アイリに呆れたようにそう言われ、キルアは更に不機嫌な顔をしてそっぽを向いた。
彼が膨れっ面の理由…
それは、ジュリが試合に参加すると言い張ったからだった。
か弱い自分の彼女が、こんな野蛮な男どもと闘うなんて許せない。
そう思ったキルアは受け付けに着いた際、当然のように「ジュリは見物してるだけで良いよな?」と聞いた。
しかし、彼女から返ってきた返事は意外にもNO。
「わたしだって、みんなと一緒に上を目指したいわ!」
これには、さすがのキルアも動揺を隠せなかった。
ハンター試験も怖がっていたジュリが、自ら恐ろしい決闘という場に飛び込もうとするなんて……!
そんなの、絶対に危険すぎる。
断固反対派のキルアと、四人一緒にエントリーしたがるアイリ、ジュリ、それからゴン。
長蛇の列に並んで受け付けまで辿り着いた四人は、周りの迷惑も考えず30分は言い合った。
後ろに並ぶ人々が痺れを切らしてブーイングを始めた頃には、キルアの立場は完全にアウェイになっていたが、それでも彼は反対し続ける。
その後、更に20分は粘ったものの…
最終的には渋々ジュリも含めた四人で登録を完了させることとなったのだ。