GLITTER
□#01 春の日
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「おはよう、キルア!」
「はよー。」
教室に入るなり、友達のゴン=フリークスが嬉しげに話しかけてきた。
「ねぇ、昨日レオリオから借りた漫画どうだった?
面白かった?」
「んー、まだ2巻までしか読んでないからベタな感じだけど、続きは気になるな。」
「そっか。
次は俺が借りる番だから、早めに読んで回してよね!」
「オッケー。」
ゴンにそう返事をしながら、ぺしゃんこの鞄を置いて席についた。
今の俺の席は窓際の一番後ろ。
この季節は日差しも丁度いいし、特等席だ。
「ところで、お前数学の宿題はできたの?」
俺の質問に、勉強が大の苦手なゴンは顔をしかめた。
さっきまでの楽しげな雰囲気が一瞬にして変わる。
だけど、これもいつものことだ。
「しゃーねーな。
ほらよ。」
宿題しか入っていない鞄から数学のノートを出すとゴンに差し出す。
「ありがとう!」
「一時間目なんだから急げよ。」
「うん!
やる気はあるんだけど、わけわかんなくて…
どうしてもできないんだよねぇ。」
「お前なぁ…
俺より授業聞いてるくせに、どんだけ不器用なんだよ。」
「キルアこそ授業中寝てるし、置き勉してて勉強もあんましてないのに、ずるいよ!」
「まぁ……
天才?なんじゃねーの?」
「はいはい。」
「おい、つっこめよ!
そこまで自惚れてねーよ!」
「今急いでるんだもん。
ごめんね。」
そう言って俺の机の上でシャーペンを走らせるゴンの頭を、俺は軽く小突いた。
人のノート借りておいて、なんて態度だ。
だけど、コイツには感謝してる。