ハンター試験編
□#04 何があっても
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会場の中には何ともいえない異質な空気が流れている。
筋肉質な男の人。
ベテランな雰囲気を醸し出している老人。
パソコンをカチカチやっている人に、猿を連れた人。
坊主頭の男もいる。
しかし、中でも異彩を放っているのは…
「くっくっく…◆」
赤い髪をオールバックにし、顔にはペイント。
まるでピエロのような恰好をした男性が、
一人でニヤニヤしながらトランプタワーを作っている。
「どう見たってあの人怪しいよね。」
アイリが小声でキルアに囁いた。
「んあ?…あぁ、確かに。」
「君たち、新入りだね。」
アイリとキルアが話し込んでいるところに、
人の良さそうなおじさんが声をかけてきた。
「そうだけど、よく分かったね。」
アイリがそう言うと、おじさんは「はは。」と笑う。
「俺は受験番号16番のトンパ。
今年でハンター試験37回目のベテランさ。」
「「37回!?」」
「それ、全然自慢になってねーけど。」
頭の後ろで腕組みしながら、ぼそりとキルアが呟く。
「新人の君たちに忠告なんだけど…
あの44番のプレート付けてるヒソカってヤツには注意しな。」
そう言われて、二人は先ほど話していたピエロの方を見た。
「44番って、あいつだよな?」
「やっぱ要注意人物なんだ。」
「あぁ、去年も試験に参加していたんだがな…
その年の試験管を半殺しにしちまって失格になったんだ。」
「うっそ、まじ。」
「あたし、あの人には近づきたくないな。」
空気が重くなったのを察したトンパは、明るく二人に言った。
「そうだ、喉かわいてないか?
お近づきの印にジュースやるよ。」
ほらっと言って、彼はアイリたちに缶ジュースを差し出した。
「わぁ、ありがとう。」
「いいってことよ。
また何か聞きたいことあったらいつでも言いな。」
そう言って手を振りながら、トンパは次に坊主頭の男の人の元へと向かった。