ハンター試験編
□#06 心の距離
3ページ/9ページ
「…俺は、別にハンターになりたいわけじゃないんだ。」
脇に挟むスケボーのローラーが、走る振動に合わせてカタカタと鳴る。
「え。じゃあ、何でここに来たの?」
息絶えて倒れてしまった受験生を避けながら、ゴンがキルアに問いかけた。
「うーん。ぶっちゃけ、暇つぶし。
家にいたくなくてさ。
超難関な試験があるって聞いたから受けてみることにした。」
口では気だるそうにそう言ったキルアだが、真剣な目的を持ってこの試験に臨んでいる二人に、自分の理由を話すのは少し気が引けた。
必死に試験を受けに来ている人がいる中で、“暇つぶし”というのは正直失礼な話である。
キルア自身、それが分かっていたので、二人が気を悪くしないか本当は心配だったのである。
しかし、ゴンたちは嫌な顔一つせずこう答える。
「そっか。でも、そのおかげでキルアに会えたんだもん。
俺は嬉しいよ!」
「わたしも!
キルアが暇してて、よかったね。」
ジュリは、あははっと悪戯っぽく笑った。
「…止めろよ、ハズいだろっ。」
頬を少し赤くするキルア。
それがバレないように、わざと素っ気ない態度をとる。
だが、ジュリたちはそんなキルアの態度にも優しい表情を見せた。
まるで彼の性格を全て理解しているかのように。