ハンター試験編
□#07 道標
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「うわー!!」
「きゃぁぁぁぁ」
「うっ………。」
そこら中に響き渡る悲鳴やうめき声。
ジュリは耳を塞ぎたい衝動に駆られた。
もともと平和な国で育ってきた彼女は、
人の血や、悲痛な叫びに慣れていない。
初めて見る悲惨な場面を目の前に、得意の走りも勢いを落とす。
異変に気づいたゴンは、ジュリの顔を覗き込んだ。
「ジュリ、何か顔色悪いみたいだよ。
疲れた?」
「…さすがに女にはキツいか。」
キルアも少しペースを緩める。
「…ううん。
わたし、小さい頃から走るのだけは得意で。
持久力にも自信あるの。」
「でも、顔が真っ青だよ?」
そう尋ねられ、ジュリは言いづらそうに、ゆっくりと口を開いた。
「…実は、怖くて。
人の血とか、苦しんでるとことか、
あんまり見たことないから…」
言葉にすると、自分がどれほど弱い人間か思い知らされた。
ハンターを目指す人間が、血や悲鳴に怯えるなんて。
猛者が集まるこの試験。
あまりにも自分は弱すぎる。
ジュリはそう考えると、自然と目に涙を溜めていた。