ヨークシンシティ編
□#41 またひとつ
3ページ/7ページ
「ところで、あんなに啖呵を切ってたけど、何かお金を稼ぐ良い案はあるの??」
チーム戦をスタートさせた翌日。
ジュリとキルアはファミレスでモーニングをとりながら、今後の作戦について話し合っていた。
運ばれてきた大きなパンケーキに、ジュリは蜂蜜をかける。
上に乗っているバターと混ざり、何とも美味しそうな匂いが彼女たちの嗅覚を刺激した。
「うわ、うまそー!
俺もそれにすりゃ良かった。」
ボリューム満点のパニーニを頬張りながら、キルアはジュリのパンケーキに釘付けになる。
甘党の彼に、この香りはたまらないらしい。
「……ちょっと、キルア。
真面目に話を聞いてよ。」
一刻も早く手持ちを増やし、ゴンの父親探しの手伝いをしたいジュリは、とりつく島もないこの状況が落ち着かない。
対するキルアは「まぁ、見てなって。」とでも言うように、一切焦りの色を見せないでいる。
「勝負の行方はとにかく、何としてもGIを手に入れないと……」
そう呟きながら、ジュリはパンケーキにナイフを入れる。
切り分けた半分を取り皿により分けると、それをキルアの前へ差し出した。
「おぉー!
サンキュー‼」
ジュリの優しさに感謝しながら、甘い香りのパンケーキを頬張るキルア。
まったく……
人がせっかく真剣に考えているのに、彼はなぜこんなにも能天気にみせているのか。
そう思いながらも、ついついパンケーキを分けてあげている自分がいて、ジュリは
結局キルアに一番甘いのはわたしなんだ。
と思い知らされる。