ヨークシンシティ編
□#43 約束の日は…
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もうじき地下競売が始まる。
ネオンの占いにより、今夜あの競売で何か事件が起こることを知ったノストラードファミリー。
競売に行きたいと駄々をこねるネオンをなんとか抑え、各自配置について競売所全体を警備している。
クラピカは今、センリツとペアになり近くのビルの屋上から正面玄関の様子を伺っていた。
「……こんなときになんだけど、あなたの心音は本当に正直ね。」
「………。
どういう意味だ??」
「任務中、あなたの心音はただならぬ音を奏でている。底知れぬ深い怒り、そんな感じの旋律。
だけど、そんな時にも時折川のせせらぎのような穏やかな心音が混じるの。
あなたにはきっと、守りたい大切な人がいるのね。」
センリツはいつものようににっこりと微笑みながらそう言った。
セナと同様、彼女にも自分の内面を探られているという状況に少し不快感を覚えたが、すぐに気持ちがおさまった。
「……私はクルタ族の生き残りだ。
皆殺しされた同胞の眼を集めるためにこのファミリーに入った。
仲間の眼を奪った奴らに復讐をするために…。
そして………
その目的が達成できたら、大事な人を迎えに行くつもりだ。」
自分でも、ここまでセンリツに打ち明ける予定ではなかったが、何故だか自然と口をついて出ていた。
「そうだったの。
……あなたに復讐は似合わないからやめて欲しいっていうのが正直な感想だけど…
早くその人を迎えに行って幸せになってもらいたいわ。」
「…ありがとう。」
彼女の言葉は一見綺麗事のようにも聞こえる。
しかし、歌うように紡がれる言葉には嘘が一つもないように感じた。
これが、セナとセンリツの決定的な違いなのかもしれない。