ヨークシンシティ編

□#47 帰る場所
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同じ時、隣にいるアイリの携帯からも女性の声が聞こえていた。

──ボウヤ、鎖野郎って知ってる?──



尾行は慣れているはずのキルアと、天性の才能を持つゴン。
その二人が、あっさりと姿を見られてしまったというのだろうか……。

アイリたちも気が気でない。



ただならぬ雰囲気の中、キルアは旅団からの威圧的な質問にできるだけ正直に答えていた。

しかし………


最後にきた質問を聞いて、ジュリは絶望することとなる。



──今死ぬか後で死ぬか、どっちがいい?──



プツッ─…



ツーツーツー



「………キルアっ!!?」


思わず叫ぶジュリ。

彼女たちを巻き込むことを恐れたキルアが、わざと通話を切ったのだ。


一方、ゴンも旅団から逃げようと足掻いていたが、そうこうしている間にアイリとの通話が切れてしまった。


これでもう、彼らの近況を知る術が無くなってしまった。


「……アイリっ!
キルアが……!!」

「………うん。
ゴンも多分捕まった。

ヤバいことになったね……。」

「どうしたらいいの!?
このままじゃ、キルアもゴンも……」

既にボロボロと涙を流すジュリ。
アイリも初めて直面する危機に大きく動揺していたが、ジュリの前では努めて冷静を装った。

「ひとまず、レオリオと合流しよう。」

「………うん。」

こうしている間にも、愛する人を失ってしまうかもしれない……

そんな不安に押し潰されそうなジュリを見て、アイリは一つ深呼吸をするとこう言った。

「大丈夫だよ。
キルアもゴンも、こんなとこでやられたりしない。」

根拠なんてないけれど、今はそう信じるしかないのだ。

それが分かったジュリも、大きく頷いた。

「アイリがクラピカを信じるように、わたしもキルアたちを信じるわ。」

「うん!

さぁ、レオリオのところに急ごう!」

涙で視界が歪む中、ジュリはがむしゃらにアイリの背中を追いかけて走り出した。






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