ヨークシンシティ編

□#47 帰る場所
3ページ/9ページ


―――――――――――――――――――――

その頃、ゴンたちは幻影旅団のアジトに連行されていた。
キルアを問い詰めていた男・ノブナガに誘われ、ゴンは腕相撲の勝負をする羽目になったのだが…

さすがは幻影旅団。

先ほどからゴンは負け続けている。
それでもノブナガは勝負を終わらせようとはしない。

何度も何度もゴンの腕を机に叩きつけた。


「なァ、オレぁクモの中で腕相撲何番目に強いかね?」

余裕な表情のまま、ノブナガは仲間に尋ねた。

「7〜8番ってとこじゃねーか?」

「弱くもないけど強くもないよね。」

巨漢のフランクリンと眼鏡のシズクが答える。

このシズクという女性、以前ゴンと腕相撲対決をして負けているのだが、本人はそのことを全く覚えていないらしい。


ノブナガは続ける。

「でよ、一番強ェのがウボォーギンて男だったんだが、こいつが鎖野郎に殺られたらしくてな。」

「だからそんな奴知らないって言ってんだろ!?」

負け続けるゴンを黙って見ていたキルアが、痺れを切らしたようにそう叫んだ。

「おいガキ。
次に許可なく喋ったらぶっ殺すぞ。」

「…………っ。」

射ぬくような眼差しを向けるノブナガに、キルアはもう二の句が挙げられない。

「奴ァ強化系でな。
竹を割ったようなガチンコ好きの単細胞だ。
その反面、時間にうるさくてよォ‥。
よく遅刻が原因でオレやフランクリンと喧嘩になった。

ウボォーとは旅団成立前からの付き合いだ。
オレが誰よりもよく知ってる‥‥‥‥

あいつが戦って負けるわけがねェ!!
汚ねェ罠にかけられたに決まってる!!
絶対に許さねえ…何人ぶっ殺してでも探し出す!!」


そう話すノブナガは……



泣いていた。

頬を伝う涙を、拭いもしないで。

「鎖野郎はオレ達に強い恨みを持っている。
最近、マフィアのストラード組に雇われた人物だ。

直接知らなくても噂で聞いたりしてねーか?
よく思い出せ。
心当たりがあったら今隠さず全部しゃべれよ。」

「………。」

ゴンは何も答えられなかった。



いや、答えなかった。



目の前で泣いているこの男に同情するどころか、怒りで身体がワナワナ震えていたのだ。

「知らないね。
たとえ知っててもお前らなんかに教えるもんか。」

「あ?」

「…仲間のために泣けるんだね。
血も涙もない連中だと思ってた。
だったらなんで、その気持ちをほんの少し…
ほんの少しだけでいいから、お前らが殺した人達に…

なんで分けてやれなかったんだ!!!」



──ドガッ──


怒りに任せて力を込めると、そのままノブナガの手の甲を机に叩きつけた。

激しい音が鳴り響くと、ゴンとキルアは一瞬にして旅団のメンバーに取り押さえられてしまった。


しかし…

ゴンの性格を気に入ったノブナガが信じられない一言を口にする。

「ボウズ、旅団に入れよ。」
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ