ヨークシンシティ編
□#47 帰る場所
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その頃、ゴンたちは幻影旅団のアジトに連行されていた。
キルアを問い詰めていた男・ノブナガに誘われ、ゴンは腕相撲の勝負をする羽目になったのだが…
さすがは幻影旅団。
先ほどからゴンは負け続けている。
それでもノブナガは勝負を終わらせようとはしない。
何度も何度もゴンの腕を机に叩きつけた。
「なァ、オレぁクモの中で腕相撲何番目に強いかね?」
余裕な表情のまま、ノブナガは仲間に尋ねた。
「7〜8番ってとこじゃねーか?」
「弱くもないけど強くもないよね。」
巨漢のフランクリンと眼鏡のシズクが答える。
このシズクという女性、以前ゴンと腕相撲対決をして負けているのだが、本人はそのことを全く覚えていないらしい。
ノブナガは続ける。
「でよ、一番強ェのがウボォーギンて男だったんだが、こいつが鎖野郎に殺られたらしくてな。」
「だからそんな奴知らないって言ってんだろ!?」
負け続けるゴンを黙って見ていたキルアが、痺れを切らしたようにそう叫んだ。
「おいガキ。
次に許可なく喋ったらぶっ殺すぞ。」
「…………っ。」
射ぬくような眼差しを向けるノブナガに、キルアはもう二の句が挙げられない。
「奴ァ強化系でな。
竹を割ったようなガチンコ好きの単細胞だ。
その反面、時間にうるさくてよォ‥。
よく遅刻が原因でオレやフランクリンと喧嘩になった。
ウボォーとは旅団成立前からの付き合いだ。
オレが誰よりもよく知ってる‥‥‥‥
あいつが戦って負けるわけがねェ!!
汚ねェ罠にかけられたに決まってる!!
絶対に許さねえ…何人ぶっ殺してでも探し出す!!」
そう話すノブナガは……
泣いていた。
頬を伝う涙を、拭いもしないで。
「鎖野郎はオレ達に強い恨みを持っている。
最近、マフィアのストラード組に雇われた人物だ。
直接知らなくても噂で聞いたりしてねーか?
よく思い出せ。
心当たりがあったら今隠さず全部しゃべれよ。」
「………。」
ゴンは何も答えられなかった。
いや、答えなかった。
目の前で泣いているこの男に同情するどころか、怒りで身体がワナワナ震えていたのだ。
「知らないね。
たとえ知っててもお前らなんかに教えるもんか。」
「あ?」
「…仲間のために泣けるんだね。
血も涙もない連中だと思ってた。
だったらなんで、その気持ちをほんの少し…
ほんの少しだけでいいから、お前らが殺した人達に…
なんで分けてやれなかったんだ!!!」
──ドガッ──
怒りに任せて力を込めると、そのままノブナガの手の甲を机に叩きつけた。
激しい音が鳴り響くと、ゴンとキルアは一瞬にして旅団のメンバーに取り押さえられてしまった。
しかし…
ゴンの性格を気に入ったノブナガが信じられない一言を口にする。
「ボウズ、旅団に入れよ。」