ヨークシンシティ編

□#48 優しい涙
3ページ/9ページ


―――――――――――――

翌日。


デイロード公園ではアイリたち5人がクラピカの帰りを待っていた。

しかし、いつ現れるかも分からない人をただ待つのは退屈。
ゴンとキルアは近くのコンビニでアイスを大量買いしてきた。

「こんなにいっぱい買ってきたの!?」

「うん!
アイリたちも好きなの選んでいいよ。」

「けど俺たちが競争する分は残しとけよ?」

「…大食い競争でもするつもり?」

「違うよ、早食いだよ!」

「どっちにしたって身体に悪そうだよ…。
あたしは一つだけでいいや。」

「わたしも一つだけちょうだい。」

「おっさんはー?」

原っぱにアイスを広げて座るキルアは、少し離れたベンチに腰掛けるレオリオに向かって叫ぶ。

「いや、いいわ。
お前らだけで食え。」

「まじ?
ラッキー!」

「よし!
じゃあ始めよっ。

ジュリ、掛け声頼むよ。」

ゴンにそう言われ、ジュリは「よーい、スタート!」とコールを飛ばす。

二人は勢いよく色とりどりのアイスに食らいついていく。

なんとも彼ららしい、穏やかな時間。





暫くして

そこに近づく人影に、一人が気づいた。


「ぶぁはピカ!!」

思わずそう叫んだのはゴンである。

口の中には大量のアイスが含まれていたため、向かいに座っているキルアの顔面はアイスまみれだ。
しかし、当の本人はそんなことお構い無しにクラピカの元へ駆け出した。

「……本当だわ!
クラピカっ!!」

ジュリも瞳を潤ませながらゴンの後に続く。


「ゴン─…」

ずっと音信不通だったことや、電話で感情をぶつけてしまったことを、何と詫びればいいのか考えていたクラピカ。

しかし、彼が口を開く前に、ゴンから出たのは思いがけない一言だった。

「良かったね!!」

「…!?」


「旅団が死んで、これでやっと一番したかったことに、集中できるね!

早く見つけてあげなきゃ!
仲間達の眼。」

「…………。

あぁ。」


優しい仲間たち。

ここが私の新しい帰る場所か…。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ