ヨークシンシティ編

□#49 罪の共有者
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そんな時、銀髪の少年が血相を変えて立ち上がる。

「…なんで。
何で話したんだ!!
そんな大事なこと!!」

「キルア!?」

隣に座っていたジュリも驚いたように彼を見上げた。

「……確かに。
なぜだろうな…。
奴等の頭が死んで…
気が抜けたのかもしれない。」

「まずいんだ!!
まだ残ってる!!
奴等の生き残りに、記憶を読む能力者がいる!!」

「あっ」

キルアの言葉に、ゴンも思い出したように声をあげた。

どうやら旅団の中には対象者に触れて質問するだけで、記憶を読み取る能力者がいるらしい。

そして、ゴンのことを大層気に入っていたノブナガも生きている。
彼は鎖野郎を探すと同時にゴンのことも探しているはずだ。


「だけどそいつだって、お前ら二人とクラピカの接点は知らねぇんだろ?」

緊迫した空気の中、レオリオが至極当然の考えを口にする。
それに対しクラピカもまた、平然と返した。

「私がヒソカとコンタクトをとっている。」

「えっ!?」

「ヒソカって……
あのヒソカ!?」

アイリとジュリは悲鳴に近い声をあげる。
ヒソカとクラピカが、接触していたなんて…
考えたこともなかった。

「ああ。
奴は私が鎖野郎だと知っている。
一応協定は結んでいたが、奴の狙いだった頭が死んだ今、どんな行動に出るかはわからない。」

クラピカは焦りを感じさせない様子でそう説明する。

しかし、
彼が冷静であればあるほど、アイリの胸は不安で掻き乱される。



今、手を伸ばせば届く距離にいる愛しい人。
もう絶対に離れたくない。
手放したくない。

奪われたくない。



どうか……
どうか、誰も彼の命を狙わないで。




その時だった。

「探した方がいい。
俺達がクラピカの秘密を知ってしまった以上、受け身でいると危険だ。」

「……え。
でもそれより一刻も早くヨークシンを離れた方がいいんじゃない??」

「奴らが地下に潜って力を蓄える前に芽を摘んだ方がいい。
今なら奴らのアジトも分かる。」

「……そうかもしれないけど。」

できることならこれ以上旅団との接触を持って欲しくないアイリと、殺られる前に殺った方がいいと考えるキルア。

危険な賭けには出ない主義のキルアが、ここまで旅団を追うことを勧めるにはもう一つ理由がある。


それは、クラピカの力を借りて、懸賞金を手に入れること。

アイリは彼との再会で忘れてしまっているかもしれないが、ゴンたちがヨークシンに来た目的はグリードアイランド。
これが大金を稼げる最後のチャンスなのだ。
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