天空闘技場編

□#32 心配すんな
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「…キルア、怒ってるの?」

「……別に。」

ジュリは隣に座る膨れっ面な彼氏の顔を覗き込む。

数日前の感動の再会はどこへやら…。

ただ好きな人と一緒にいられるだけで満足だと思っていたのに、想いが通じると今度はまた別のトラブルが発生する。

全く“恋心”というのは、どうしてこうも事をややこしくしてしまうのだろう。


「1973番!2055番!
Eのリンクへどうぞ。」

ぎくしゃくした空気の中、目の前のリンクで行われている試合を黙々と見ていると、ゴンの番号が呼ばれた。

「…俺だっ!」

「まじで!?
ゴン、頑張ってねっ」

「うん!
行ってくるよっ」

元気よく手を振り、客席から出ようとするゴン。

そんな彼を見つめていたキルアは、一つため息を吐くとゴンを呼び止めた。


「ゴン!
お前、試しの門クリアしたんだろ?

ならさ、もうただ思いっきり……」

ようやく機嫌を戻したのか、ゴンを手招きすると、彼の耳元で何かを囁く。

「え!?
本当に?」

キルアに何らかのアドバイスを貰ったゴンは、少し半信半疑のような顔をしていたが、それでも意を決してリンクへと向かった。

「…ねぇ、ゴンに何を言ったの?」

きょとんとした顔で問いかけてくるジュリに、キルアは得意げな顔で答える。

「まぁ、見てなって。」


レフリーの合図と共に、ゴンの相手である巨漢が動き始めた。 

「ゴーンっ!!
頑張れぇ!」

周りの目も憚ることなく、アイリは大声で仲間を応援する。


その次の瞬間─…


─ドーンッッ!!─


会場中に広がるざわめき。


それもそのはず。


ゴンは押し出し一本で、巨漢を壁にぶち込んだのだ。



「…2055番。
キミは50階へ」

「ありがとう!」

呆気に取られるレフリーに対し、爽やかにお礼を言うゴン。

そのまま軽い足取りでアイリたちの元へと帰って行った。
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