天空闘技場編

□#32 心配すんな
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「お疲れ様っ」

「ゴン、凄すぎっ!!」

ジュリとアイリに褒められ、照れながら頭をポリポリ掻く。

「キルアの言うとおり、ただ思いっきり押しただけなんだけどね。」

「試しの門開けれたくらいだからな。

暫くはその一手だけで、十分通用すると思うぜ?」

自分の読み通りに事が進み機嫌を直したキルアは、いつものように余裕な笑みを見せる。



「うん!

ってワケだから、アイリもジュリも
思いっきり押せば大丈夫だよっ」

「そっか!
ジュリちゃん、頑張ろうねっ」

「えぇ!」


見る見る自信満々になる少女たちの姿を見て、先程までの余裕綽々な笑みはどこへやら。

キルアは素っ頓狂な声を響かせた。


「……あぁん!!?
何でお前等まで押し出し一本で勝つ気満々なんだよっ。

ナメて掛かると危ねぇからなっ!?」

両側に座っているアイリとジュリの顔を交互に見る彼の表情は、正に鬼の形相だった。

しかし、そんなキルアとは正反対に、彼女たちは至って冷静な声でこう答える。

「え。
だってあたしたちも試しの門開けて来たんだもん。」

「ゴンたちよりは時間かかっちゃったけど…
ちゃんと自分の力でキルアを迎えに行ったのよ?」

「…………まじ?」


予想外の展開に、キルアはただただ唖然とするばかり。


百歩譲ってアイリはともかく、あのか弱いジュリまでもが片方2トンもある扉を越えてきたというのか…。

てっきりゴンたちに開けて貰ったとばかり思っていた。


「……だからあんなに登録したがってたワケね。」

自分の知らない間に頼もしくなったジュリに違和感を覚えながらも、キルアはほんの少しだけ心配事が軽減した気持ちになる。

「キルア。
わたし、ハンター試験を受けてた頃よりはだいぶ成長したと思うの。

だからお願い。
みんなと一緒に闘ってもいいでしょ?」


キラキラと宝石みたいなグリーンの瞳がこちらを見つめる。

それだけで、不覚にもキルアの心臓はギューッと締め付けられてしまうのだ。


「……ん。

とりあえず、様子見ながら…な?」

頬を紅く染めながら、ぶっきらぼうに呟くキルア。

ジュリはそんな彼に飛びつくと、満面の笑みでお礼を言った。

「ありがとう!!

わたし、頑張るっ」

「……うわっ、ちょ…
いきなり抱きつくなっちゅーの!!」

「だって、これでわたしだけ置いてけぼりにならずに済むんですものっ」

「…言っとくけど!
俺が危険だと判断したら、何が何でも試合には出させねぇからなっ!?」

「えぇ、分かったわ!」

「……分かってんのか?
マジで!?」


端から見れば、ただイチャついているだけのように見える二人のやり取りが微笑ましい。
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