天空闘技場編
□#32 心配すんな
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その後、ゴン同様に押し出しだけで勝利を決めたアイリとジュリ。
華麗な手刀で当然のように勝ち抜いたキルア。
四人は揃って初勝利をものにすると、50階へ向かうエレベーターに乗り込んだ。
エレベーターガールによると、このビルは200階までは10階単位でクラス分けされているらしい。
そして、100階をクリアすると専用の個室が用意される。
「個室まで貰えたら、宿代もかからないし一石二鳥だね!」
─チーンッ─
アイリがそう言ったのと殆ど同時に、エレベーターは50階へと到着した。
四人がゾロゾロと歩き始めると、後ろから威勢のいい声が聞こえてくる。
「押忍っ!!」
見るとそこには、先程一緒にエレベーターに乗り込んでいた柔道着姿の少年がいた。
「自分、ズシといいます!」
大きな瞳と茶髪のクリクリ坊主。
歳はゴンたちよりも下だろう。
「俺、キルア。」
「俺はゴン。よろしく。」
「あたし、アイリ!」
「わたしはジュリよ。」
恐る恐る四人に声を掛けたのだろう。
ズシは予想以上に快く返事をしてくれたことが嬉しかったようで、少し興奮気味に話し始めた。
「さっきの試合拝見しました!
いや〜…すごいっす!!」
べた褒めされて気分が良くなったアイリたちは、ズシを含めた五人で50階の受け付けへと向かう。
「ズシ!
よくやりましたね。」
初対面とは思えないほど意気投合した彼らが角を曲がると、眼鏡の青年が姿を現した。
神経質そうな顔とは反対に、片側のシャツだけがだらしなくズボンからはみ出している。
「ちゃんと教えを守ってたね。」
「押忍!光栄っす。
…あの、師範代……またシャツが。」
「あっ!
ゴメンゴメン。」
そう言って慌てて身なりを整える。
ウイングと名のるその青年は、どうやらズシの師匠らしい。
アイリたちも軽く自己紹介をすると、そのまま五人で先程のファイトマネーを貰いに行った。